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論文・著書情報


タイトル
和文:進化しつづける「交替劇」遺跡データベース 
英文:”Replacement of Neanderthals by Modern Humans” archaeological database and its po- tential for interdisciplinary research 
著者
和文: 近藤康久, 門脇誠二, 西秋良宏.  
英文: Yasuhisa Kondo, Seiji Kadowaki, Yoshihiro Nishiaki.  
言語 Japanese 
掲載誌/書名
和文: 
英文: 
巻, 号, ページ        
出版年月 2012年5月24日 
出版者
和文: 
英文: 
会議名称
和文:日本地球惑星科学連合2012年大会 
英文:JpGU 2012 
開催地
和文:千葉 
英文:Chiba 
公式リンク http://www2.jpgu.org/meeting/2012/session/B-PT24.html
 
アブストラクト 新学術領域研究「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相」プロジェクト(http://www.koutaigeki.org/)の計画研 究 A01 班「考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の実証的研究」(代表者・西秋良宏)では、旧人・新人交替現象の進 行過程を明らかにするために、アフリカとユーラシアの約 20 万年前から 2 万年前にかけての人類遺跡とそこで用いられ た石器製作技術伝統の網羅的集成に取り組んでいる。2012 年 2 月 15 日までに、のべ 1,264 遺跡の 3,177 文化層、年代試 料 4,896 点の情報をクライアント・サーバ型データベース「Neander DB」に収録した。ヨーロッパを対象とする先行プ ロジェクトの公開データベースを取り込むとともに、アフリカとアラビア半島、中央アジア、シベリア等の新出遺跡の 情報を追加した点に特長がある。 この集成作業は、きわめて広範囲な地域を対象とするため、地域ごとの研究を基本とするこれまでの考古学では見 過ごされてきた重要な問題を明らかにしつつある。たとえば、ネアンデルタール人(旧人)が使ったとされる「ムステ リアン」という石器製作技術伝統は、ヨーロッパで定義されたものであるが、アラビア半島東部では「ヌビアン・コン プレックス」と呼ばれるなど、同じ技術伝統の名称が地域ごとに異なる場合がある。また、洞穴などで人類の生活面が 重層的に堆積していることを前提とした「文化層」という概念が、シベリア等の開地遺跡には適用しづらい、という問 題点も見えてきた。さらに、B02 班で研究を進めている古気候プロキシと考古遺跡の年代を対比する際に、年代の指標 が分野ごとに異なることも明らかになった。 これらの問題に対処するため、たとえば石器製作伝統と時期区分の対応テーブルを新設するなど、必要に応じて柔 軟に仕様変更をおこなっている。この点、ネットワークを介して単一のマスタデータベースを共同で編集する方式を採っ ているため、バージョンの齟齬などの支障なく作業を継続することができている。 Neander DB に収録された遺跡情報は、「交替劇」プロジェクト内で分野横断的研究を進める際の基盤となりうる。 具体的には、地理情報システム(GIS)を用いて、B02 班で解析する年代・古気候・古地形情報と統合することによって、 人類進化と気候変動の相関を視覚化することができるものと期待される。情報共有・統合解析の方法に関して、セッショ ンに参加する地球科学の研究者各位と意見交換できれば幸いである。

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