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論文・著書情報


タイトル
和文:脳概念処理を対象とした機械学習モデルの開発 
英文: 
著者
和文: 赤間啓之, 箕輪裕.  
英文: hiroyuki akama, Yutaka Minowa.  
言語 Japanese 
掲載誌/書名
和文: 
英文: 
巻, 号, ページ        
出版年月 2020年9月 
出版者
和文: 
英文: 
会議名称
和文:日本行動計量学会第48回大会 
英文: 
開催地
和文:早稲田大学 
英文: 
アブストラクト 統計的機械学習は、高次元データセットを有する神経画像データの分析に利用できることが知られている(Abraham et al. 2014)。例えば、写真と音声・文字で示した手道具と哺乳類の各概念(アイテム)の属性について想起するヒトの脳内 fMRI 画像から、機械学習を用いた意味カテゴリー判別モデルの作成が可能である(Akama et al. 2012)。しかし、思考する概念の数を増加させることによって、判別精度は被験者によって著しく減少する場合があるということが分かっている。本fMRI実験では、被験者は朝鮮族の参加者 5 人、中国語と韓国語の言語条件、哺乳類と手道具(各々20 種類)の意味条件の交差割付刺激による条件下で脳内 fMRI 画像が撮像し、各被験に対して機械学習モデルを適用し賦活値の関係性について機械学習モデルを作成し考察した。 本研究では、各被験者に対して Analysis of Variance(ANOVA)を用いて情報量の大きい voxel を特徴として選択した。従来手法とは異なり、各試行内の複数の volume データを平均化せずにモデルの学習に用いた。時間的影響をなるべく減らす手段としてラベリングされたデータから算出されたベクトルをLinear Discriminant Analysis(LDA) を用いて低次元ベクトルに変換した。これによってアイテムによる脳反応の類似性が反映するように最適な2次元平面に写像した。本解析手法によって、アイテムレベルで解析を行ったにも関わらず、写像を行った2次元平面上で意味カテゴリーにおいてもクラスター領域を分けることができた。 さらに、fMRI 画像が示す脳反応と連想概念辞書 EAT に基づく意味ネットワークの関係性分析を行い、LDA による脳反応の類似性情報と意味ネットワークによる単語間の類似性情報からそれぞれ相関行列を作成し比較した。比較方法は同じアイテム間では自己相関を除いたベクトルの相関係数、異なるアイテムでは自己相関とその異なるアイテム同士の相関を除いたベクトルの相関係数を算出し行列を作成した。本研究ではこの行列を準相関行列と定義した。さらに、得られた準相関行列から、心理学実験に基づく言語コーパスとfMRI 画像データの関係性を確認できた。 更に本研究では、被験者ごとの概念理解時のfMRIデータの情報がどのように保存されているかという問題に対し、データ内部の弱い/強い相関を保った状態で比較を行った。脳が概念を処理する各試行でfMRIのBOLD(血中酸素水準依存)反応を試行内で平均化せず、Boxcars(磁気共鳴による各時点の信号値)をそのままデータポイントとしてラベリングし、判別モデルには線形のSVMを用い、Stratified Shuffle Split cross validation(3SCV)、KFold cross validation(KFCV)の2つの交差評価を用いて比較を行った。それにより、概念処理時の情報がデータの相関に関わらず保存されることが示唆された。データ内部の相関に対しての情報処理の有用性については、未解決な点が多く残されているが、複雑な概念思考における被験者の人数は限られており、各被験者においてのモデルを作成した時にデータ内部の相関の強さに依らず概念処理の情報が保存される可能性があることは、今後の新たな研究に発展していく可能性を示唆している。

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