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論文・著書情報


タイトル
和文:Landsat8の衛星観測データを用いた全球氷河のデブリ分布推定 
英文: 
著者
和文: 石川 こより, 佐々木 織江, 鼎 信次郎.  
英文: Koyori Ishikawa, Orie Sasaki, Shinjiro Kanae.  
言語 Japanese 
掲載誌/書名
和文:水文・水資源学会研究発表会要旨集 
英文: 
巻, 号, ページ        
出版年月 2022年9月 
出版者
和文:水文・水資源学会 
英文: 
会議名称
和文:水文・水資源学会/日本水文科学会 2022年度研究発表会 
英文: 
開催地
和文:京都 
英文: 
公式リンク https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshwr/35/0/35_95/_article/-char/ja
 
DOI https://doi.org/10.11520/jshwr.35.0_95
アブストラクト 氷河の融解は海面上昇や自然災害を引き起こす要因であり,気候変動の影響で全球の氷河において縮退が報告されている.氷河の融解量を推定することは水資源量等への影響評価も含めて重要な研究課題であるが,全球等の広域を対象としたモデルは未だ開発段階かつデブリの影響も考慮していない場合が多い.デブリは氷河表面を覆う土砂や岩屑のことで,薄く堆積すると氷河に熱を吸収しやすくさせ融解を促進し,厚く堆積すると断熱効果が生じ融解を阻害する.このようにデブリは氷河の融解速度に関係するため融解量を正確に予測するためには無視できない要素であるが,広域モデルで考慮されていない背景にはデブリの厚さや熱伝導率の取得に現地観測が必要とされるという難しさがあった.そこで,衛生観測から得られる反射率を用いて計算可能な熱抵抗値を用いる手法が開発され,一部地域について検証がなされている.本研究では,熱抵抗値計算を全球に展開し,その結果を用いて氷河融解量を推定することを目指している.デブリを考慮する場合デブリの有無でグリッドの扱いが異なるため,裸氷域とデブリ被覆域を分類する必要がある.本研究の氷河表面分類には2013年に打ち上げられ現在も運用中の地球観測衛星Landsat8のデータを用い,氷河とその周辺との境界にはRandolph Glacier Inventory ver.6.0の氷河外形データを用いた.Landsat8のバンド値から計算したNormalized Difference Snow Indexが0.25以下かつ全球標高データAW3D30より求めた斜面の角度が24°以下の場合をデブリ被覆箇所とする.分類の結果より,デブリは主に氷河の外縁に堆積する傾向にあることがわかった.そのため,氷河の面積が大きい地域より氷河の形状が複雑な地域や細かい氷河が多数集まっている地域でデブリ被覆域が多くなりやすい.また,今回対象とした氷河全体におけるデブリ被覆率は17.0%で,RGIに倣った地域別の統計では最大45.7%,最小6.1%,平均は23.7%となった.この結果は,氷河の融解量推定においてデブリの影響が無視できないことを示唆している.デブリ被覆域と分類された箇所が氷河の融解に及ぼす影響を評価するためには熱抵抗値等の指標を用いたモデル計算を行う必要があり,熱抵抗値計算や熱収支モデルの広域展開も含む更なる検証が今後の課題である.

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