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論文・著書情報


タイトル
和文:大気圧プラズマバブリング法を用いた白癬菌の殺菌実験 
英文: 
著者
和文: 府川大晟, 大澤泰樹, 劉子鈺, 八井田朱音, 松村有里子, 岩澤篤郎, 沖野晃俊.  
英文: Taisei Fukawa, Taiki Osawa, Ziyu Liu, Akane Yaida, Yuriko Matsumura, Atsuo Iwasawa, Akitoshi Okino.  
言語 Japanese 
掲載誌/書名
和文: 
英文: 
巻, 号, ページ        
出版年月 2025年9月25日 
出版者
和文: 
英文: 
会議名称
和文:日本防菌防黴学会第52回年次大会 
英文: 
開催地
和文:三重県志摩市阿児町神明718番地の3 
英文: 
アブストラクト 〔目的〕  近年,病気の原因となる様々な細菌の薬剤耐性化が問題になっている。真菌の一種である白癬菌も例外ではなく,真菌感染症の治療薬であるテルビナフィンやアゾール系抗真菌薬に対しても低感受性を持った株が報告されている1)。白癬菌の感染によって起こる足白癬や爪白癬は国内でも患者数が多く高齢者の50%以上が罹患しているといわれている1)。このため,薬剤耐性白癬菌に対する殺菌法が求められている。  我々のグループでは,殺菌因子である様々な活性種を低温で生成できる大気圧低温プラズマに注目して研究を行っており,中でも各種プラズマガスを多孔質フィルターを通して直接水中にバブリングすることで,酸化力の高い活性種を液中に導入できるプラズマバブリング法を用いた殺菌の研究を行っている。プラズマバブリングで作製された液体は,一定期間殺菌効果を保持する一方で,活性種が失活した後は残留毒性のない元の液体に戻るため,安全性の高い手法であると考えている。また,プラズマによる殺菌は薬剤耐性菌に対しても有効であることが報告されている。本研究では,白癬菌に対してプラズマバブリング法を用いて殺菌実験を行った。 〔方法〕  殺菌実験には,沖野研究室で開発したマルチガスプラズマジェットを用いた。プラズマ生成装置に酸素または二酸化炭素を3 L/minの流量で導入し,電極間に9 kV,16 kHzの交流電圧を印加することで大気圧低温プラズマ生成した。約103 CFU/mLに調整した50 mLの白癬菌懸濁液に,プラズマ中で生成された活性種を多孔質ガラスフィルタを通して導入し,バブリング処理を行った。処理後の菌懸濁液を100 µL採取し,100 µLの培養液と混合して段階希釈後に寒天培地に滴下した。これを室温で約72時間培養した後に生菌数をコロニーカウント法で評価した。 〔結果〕  白癬菌に対して酸素および二酸化炭素のプラズマでバブリング処理を10秒間行ったとき,いずれも生菌数は検出下限値である102 CFU/mLまで1桁以上減少した。これは,プラズマ中で生成された活性種が気泡界面や水中で水の分子などと化学反応し,OHラジカル,一重項酸素,過酸化水素,オゾンなどの酸化力の高い活性種が生成されたためと考えられる2)。このように薄い濃度の白癬菌は10秒間のバブリングでも検出下限値まで殺菌できたが,処理時間やガス種による殺菌効果を比較するためにはより高濃度の白癬菌を処理する必要がある。発表では,菌液の初期濃度を107 CFU/mLにした条件や,実際の応用を視野に入れて菌液の量を増やした場合の殺菌効果等についても報告する。 〔文献〕 1) 山田 剛,真菌誌,第63巻,p. 89 (2022). 2) T. Takamatsu, K. Uehara, Y. Sasaki, H. Miyahara, Y. Matsumura, A. Iwasawa, N. Ito, T. Azuma, M. Kohno, A. Okino, "Investigation of reactive species using various gas plasmas", RSC Adv., 75(4), 39901–39905 (2014).

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