弛張発振器をベースとしたセンサ回路は,カウンタを使ってセンサ信号を容易にデジタル化できることや,カウンタの計測時間に応じて分解能を可変にできるといったメリットを有する.この回路をサブマイクロワット級の消費電力で動作させるためには,定常電流を消費するコンパレータの低消費電力化が課題となる.低消費電力化によりコンパレータの応答時間が悪化するため,これを用いた弛張発振器型センサ回路においては測定精度が劣化することが問題となる.本研究グループでは,これまで180nm Si CMOSプロセスを用いた発振器型センサ回路を開発しているが,本稿では応答速度向上のため65nm Si CMOSプロセスの利用を検討した.回路シミュレーションによる解析の結果,サブマイクロワット級の動作を目指す場合に比較的微細なトランジスタを用いるとゲートリークの影響により正常に動作しない場合があることが分かった.