平成19年8月31日に全学運用を開始したT2R2システムは、平成29年8月31日、10周年を迎えました。
10周年を記念して、これまでのT2R2の軌跡をまとめました。
リサーチリポジトリワーキンググループ主査 |
東京工業大学リサーチリポジトリ(Tokyo Tech Research Repository、略して T2R2)が全学向けの本格的なサービス運用を開始してから平成29年8月末日をもって10周年を迎えることができました。サービス開始以来、25万件を超える論文等の書誌情報登録、1万2千件を超える論文本文の pdf 登録を頂き、学内外から累計で700万回に近いサイトアクセスを頂いています。これもひとえに、T2R2 の開発にご尽力頂いた当ワーキンググループ関係各位、ならびに T2R2 の業績情報の提供者である本学教職員の皆様のご協力によるものと、心から御礼申し上げます。
他の大学の機関リポジトリでは、実質的に担当職員が情報入力する各大学の紀要論文が主たる蓄積対象となっているところが多数です。これに対し、T2R2 では、研究大学としての情報発信に相応しいように、論文誌や国際会議に採択された学術論文を中心に、学位論文、特許、教科書、一般書、解説、テクニカルレポート等々を蓄積対象にしています。それらの多種で大量の業績をタイムリーかつ正確に発信するために、著者自身が入力する「セルフアーカイブ」を基本方針としつつ、入力のための労力を極力抑える工夫を行っています。
具体的には、本学の身分証あるいは学生証である「東工大 IC カード」と連携して研究者個人を特定するとともに、業績と研究者の情報を分離し、その間を関連付けることで、共著者の一人が入力した業績情報を共著者全員が共有できるようにしました。なお、共著者である学生や代行権限のある支援員も入力が可能になっています。このようにすることで、集計する際の同姓同名の著者に対する名寄せ処理が不要になり、同一の業績を複数人が個別の業績として入力した場合に生じる累計上の重複もなくなります。それらによって、部局毎や大学全体の業績登録数等も正確に集計し、大学の業績として発信することが可能になっています。
また、論文本文の pdf ファイルから書誌情報を抽出する機能や重複登録検出機能、あるいは移籍時等に csv 形式で記入された書誌情報を一括でダウンロード・アップロードする機能等を提供しています。平成28年度からは世界的な研究者情報収集の非営利組織である ORCID からの論文等の情報を直接ダウンロードする機能も提供できるようになりました。
さらに、著者名、論文名、掲載先といった書誌情報だけでなく論文本文も pdf ファイルとして蓄積して、提供可能としています。一部業者による独占的流通が主因の論文購読料の高騰が国際的な問題として共通認識される中、論文のオープンアクセス化の必要性が強く指摘されています。機関リポジトリから論文本文を提供することは、オープンアクセス化の面からも重要となっています。なお,T2R2では、本文公開の際に必須である著作権管理にも対応し、著作権的に問題のない論文のみ本文を公開するようになっています。
一方、T2R2 に蓄積された豊富な情報を効率的に活用するために、学内外からの多様な検索要求に対応する高度な検索機能を提供しています。また、T2R2 に入力した論文等の情報を研究室等の Web サイトから発信する機能や、科研の申請書、報告書等の業績リスト作成にも利用するための機能も開発してきました。本学の研究者検索システムである STAR Search とも API を介して連携し、研究者情報の発信の一端を担っています。
このようなセルフアーカイブや研究者情報と連携した検索等に成功している国内の大学機関リポジトリは多くありません。それらの野心的な試みに対して、本稿の冒頭で報告したような登録数やアクセス数が実現できているのは、関係各位のご支援による賜物であり、改めて御礼申し上げます。
今後も、更に学内外の研究者や関係者の皆様に有用なサービスを目指していきたいと思っております。
平成29年9月吉日
H19 | H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | |
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検索公開サイト ※1 | 24,706 | 99,727 | 609,219 | 1,721,247 | 2,045,896 | 2,251,536 | 2,459,334 | 2,849,827 | 3,304,861 | 3,940,989 |
登録サイト※2 | 54,058 | 334,083 | 695,796 | 972,948 | 1,265,537 | 1,511,895 | 1,806,857 | 2,109,937 | 2,423,645 | 2,923,007 |
● | 検索公開サイト |
● | 登録サイト |
H19 | H20 | H21 | H22 | H23 | H24 | H25 | H26 | H27 | H28 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
メタデータ | 144,601 | 154,193 | 175,435 | 185,281 | 195,162 | 207,127 | 217,179 | 227,773 | 240,072 | 259,529 |
本文ファイル | 352 | 889 | 1,619 | 3,186 | 3,690 | 4,552 | 5,517 | 6,930 | 9,514 | 12,378 |
● | メタデータ |
● | 本文ファイル |
たくさんのご利用、ありがとうございます。今後もT2R2をご利用ください。
年度 | 機能開発等 | 本文ファイル公開件数 |
平成29年度 | T2R2 全学運用10周年! ハンズオン説明会実施 |
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平成28年度 | 運用指針の改訂 ORCID との Member API を用いた連携 一括インポート機能の改善 重複チェック機能の強化 登録支援機能の拡充 全学説明会実施 |
本文ファイル公開件数5000件突破! |
平成27年度 | ORCID からの業績の一括取込機能の搭載 ORCID iD, ResearcherID の ID 登録機能の搭載 ORCID iD, ResearcherID へのリンク表示 本学の教育改革による組織変更等への対応 ハンズオン説明会実施 |
本文ファイル公開件数4000件突破! |
平成26年度 | データ入力率・更新率集計機能の搭載 大量アクセス防止機能の強化 本文ファイル登録機能の改善 ハンズオン説明会実施 |
本文ファイル公開件数2500件突破! 本文ファイル公開件数2000件突破! |
平成25年度 | 学位論文(博士)及び要旨の登録を開始 学位論文の登録及び公開機能の拡充 ハンズオン説明会実施 |
本文ファイル公開件数1500件突破! |
平成24年度 | 掲載誌入力へのサジェスト機能の追加 SCPJ, SHERPA/RoMEO との API を用いた連携 ハンズオン説明会実施 |
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平成23年度 | Google Scholar への対応 アクセス状況の集計機能及びメール通知機能の搭載 研究チーム管理機能の搭載 ハンズオン説明会実施 |
本文ファイル公開件数1000件突破! |
平成22年度 | STAR Search との連携及び共通 API の開発 研究ハイライト機能の搭載 研究分野情報機能の搭載 一括登録・更新機能の拡充 操作説明会実施 全学説明会実施 |
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平成21年度 | DRFIC2009 開催 学内発行テクニカルレポートの組織単位での一覧表示機能搭載 全学説明会実施 |
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平成20年度 | 本文公開機能のリリース 特許、学位論文データの学内既存システムからの移行 全学説明会実施 |
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平成19年度 | 全学運用開始(8/31) 一括登録・更新機能の拡充 学協会著作権ポリシーの搭載 全学説明会実施 |
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平成18年度 | 入力機能、全学認証・認可システムとの連携機能の開発 精密工学研究所、大学院情報理工学研究科計算工学専攻、 学術国際情報センター教員を対象とした試行運用 |
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平成17年度 | RRWG設置 次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業(CSI)に採択され、 T2R2システムの開発を開始(~H19) 運用指針(案)の作成 学協会著作権ポリシーのアンケートを実施 |